こんにちは、健康マスター・普及認定講師のうりさくらです!
人生100年時代、90歳以上の方の「2人に1人」が認知症と言われています。(※1)
もはや誰もがかかる可能性がある病気と言えるかもしれません。
認知症についての研究が進む中、その前段階であるMCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)という状態が注目されています。
実は、MCIは認知症へ移行する可能性がある一方、健常な状態へ戻る人もいます。
だからこそ、早い段階で変化に気づき、適切な対応につなげることが大切です。
そこでこの認知症シリーズでは、認知症予防の考え方から、具体的な「守りの対策(リスク管理)」と「攻めの習慣」までを3回に分けてご紹介します。
本記事は、認知症シリーズ第1回、MCIに関するお話です

この記事でわかること
- MCIとはどんな状態か
- 認知症とMCIの違い
- 早期発見・対策の重要性
超高齢社会の現代、認知症はけっして他人事ではありません。
ですが、ただ恐れる必要もありません。
「MCI」を正しく理解することが、いつまでも自分らしくすこやかに生きるための第一歩となります。
この記事が、そのヒントとなれば幸いです。
MCIとは?|認知症の危険信号を察知しよう!
認知症の多くは、認知機能が徐々に低下しながら進行していきます。
MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)とは、認知機能に低下がみられるものの、認知症には至っていない状態です。(※2)
いわば、健常な状態と認知症の「中間のような状態」とされています。
ここで、2022年時点の状況を見てみましょう。

この図が示す通り、65歳以上の高齢者のうち、認知症の方とMCIの方を合わせると27.8%を占め、実に3.6人に1人にのぼります。

認知症はもはや他人事ではなく、誰もがかかる可能性がある病気と言えますね。
認知症やMCIがこれほど身近な存在であると理解したところで、「具体的にどのような違いがあるのか」という点について、詳しく見ていきましょう。
MCIと認知症のちがいとは?知っておきたい境界線
認知症は症状が進むと、日常生活を送ることが難しくなる「生活機能障害」が生じてきます。
生活に必要な動作には、大きく分けて2つがあります。
- 基本的日常生活動作
食事や入浴、歩行など、生きていくための基本的な動作 - 手段的日常生活動作
買い物や料理、お金や薬の管理など、社会生活を送るための複雑な動作
認知症では、買い物や料理などの手段的日常生活動作に支障が生じ、進行すると食事や入浴などの基本的日常生活動作にも支援が必要になる場合があります。
それに対し、MCIはもの忘れのようなサインは出ていても、日常生活はまだ自分自身でこなせている状態です。

つまり、MCIと認知症を分ける大きな違いの一つは、「認知機能の低下によって日常生活に支障が生じているかどうか」です。
そして、MCIは認知症へ移行する可能性がある一方、健常な状態へ戻る人もいます。
いわばMCIは、その後の経過が分かれる「分岐点」とも言えるのです。

「まだ何とか生活できているから大丈夫」と油断は禁物です。
毎日の暮らしのなかで、以前とは違う変化や違和感を感じ始めた時こそが、認知症予防のためのアクションを起こすべき重要なタイミングといえるでしょう。
MCIの早期発見が認知症予防の鍵!
健常な人でも年間1~2%程度は認知症になると言われています。(※4)
一方、MCIの患者さんでは年間で約5~15%が認知症になりますが、逆に約16~41%は健常な状態に戻ることもわかっています。

このように、MCIは認知症へ移行する可能性がある一方、健常な状態へ戻る人もいます。
また、MCIの段階で早く変化に気づき、生活習慣の見直しや必要な治療など、適切な対応につなげることは、認知機能の維持や認知症への移行を遅らせるうえでも重要です。
だからこそ、この「MCIという段階」を見逃さず、早めの対応につなげることが認知症予防の大切な一歩となります。
見逃さないで!脳が発するMCIのサイン
MCIは認知症へ移行する可能性がある一方、早期に気づき、適切な対応につなげることが大切な時期でもあります。
以前に比べて、以下のような変化を感じることがあれば、MCIのサインかもしれません。
| 機能 | 症状の具体例 | |||
|---|---|---|---|---|
| 記憶 | もの忘れの頻度が増える、思い出すことが難しくメモに頼る | |||
| 遂行 | 段取りよく進めることができない(料理に時間がかかる) | |||
| 注意 | 作業に注意を維持できずミスが増える | |||
| 視空間 | 知っている道でも迷う、バックの駐車が苦手になる | |||
| 言語 | 言葉の読み書き、理解が難しくなる | |||
出典:東京都健康長寿医療センター「軽度認知障害(MCI)」をもとに作成(※5)
もちろん、これらはあくまで目安です。
正式な診断には医療機関での評価が必要です。「もの忘れ外来」などの専門外来のほか、まずは身近な「かかりつけ医」に相談するのも一つの方法です。
MCIや認知症が疑われる場合は、問診や認知機能検査に加え、必要に応じて血液検査や画像検査などを行い、認知機能低下の原因を詳しく調べます。

「認知症かもしれない」と一人で抱え込む必要はありません。
早く気づくことは、その後の治療や生活について考えるための大切な一歩です。
気になる変化があれば、まずは医療機関へ相談してみてください。
まとめ
MCIは、認知機能に低下がみられるものの、日常生活の自立は保たれている状態です。
認知症へ移行する人がいる一方で、健常な状態へ戻る人もいます。だからこそ、早い段階で変化に気づき、適切な対応につなげることが大切です。
「最近、もの忘れが増えたかも?」という違和感を年齢のせいと決めつけず、気になる場合は、まずかかりつけ医などの医療機関へ相談してみましょう。
MCIを正しく知ることは、将来に備えるための大切な第一歩です。
認知症シリーズ第2回・第3回では、認知症のリスクと、日常生活で取り組める具体的な対策について詳しく解説します。
ぜひ併せてご覧いただき、日々の生活にお役立てください。
- ※1 認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計|厚生労働省(1ページ「年齢階級別の有病率(2022年時点)」参照)
- ※2 あたまとからだを元気にするMCIハンドブック|国立長寿医療研究センター
- ※3 知っておきたい認知症の基本|政府広報オンライン
- ※4 軽度認知障害(MCI)に関する最近の話題|山本泰司『精神神経学雑誌』2011年 第113巻第6号(p.584)
- ※5 軽度認知障害(MCI)|東京都健康長寿医療センター
