こんにちは、健康マスター・普及認定講師のうりさくらです!

健康に良い食事を心がけたいと思っていても、「何を食べれば良いの?」「どんな食事が本当に健康に良いの?」と迷うことはありませんか。

近年では、食事と病気の関係について多くの研究が行われ、科学的根拠(エビデンス)に基づいた「健康に良い食事」が少しずつ明らかになってきました。

そこでこのシリーズでは、健康に良い食事とは何かという基本から、日本人が実践しやすい食事のポイントまで、エビデンスをもとにわかりやすく解説します。

本記事は【健康に良い食事 実践編】です。

この記事では、国立高度専門医療研究センターによる「健康寿命延伸のための提言」をもとに、今日から実践できる8つのポイントを紹介します。

この記事でわかること

  • 健康に良い食事の8つのポイント
  • 食事と健康の関係
  • 今日から始められる実践のコツ

健康に良い食事を心がけようと、ひとつひとつの栄養素ばかり気にしていては、食事そのものが負担になってしまうかもしれません。

旬の食材も取り入れながら、多様な食品をバランスよく組み合わせて、毎日の食事を楽しむことが大切です。

健康に良い食事のポイントを大まかにつかみ、できることから無理なく続けていただければ幸いです。

健康に良い食事8つのポイント

健康に良い食事を考える上で、参考になるのが、6つの国立高度専門医療研究センターがまとめた「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」です。(※1)

これは、2021年に6つの国立高度専門医療研究センターが共同で、健康寿命延伸を目的にして疾病の垣根を越えて研究結果をまとめたものです。

6つの国立高度専門医療研究センターとは

厚生労働省所管の国立研究開発法人で、がん・循環器病・認知症・感染症など、国民の健康に深く関わる重要な医療分野の研究や医療を担う専門機関です。

この提言がまとめられた2021年当時は、次の6つのセンターがありました。

  • 国立がん研究センター
  • 国立循環器病研究センター
  • 国立精神・神経医療研究センター
  • 国立国際医療研究センター
  • 国立長寿医療研究センター
  • 国立成育医療研究センター

この提言では、「食事」についても健康寿命延伸に向けた具体的なポイントが示されています。

健康寿命延伸のためには、年齢に応じて、多すぎない、少なすぎない、偏りすぎない、バランスの良い食事を心がけることが重要としています。

具体的なポイントは以下の通りです。

・食塩の摂取は最小限に。
・野菜、果物は適切に、食物繊維は多く摂取する。
・大豆製品を多く摂取する。
・魚を多く摂取する。
・赤肉・加工肉などの多量摂取を控える。
・甘味飲料は控えめに。
・年齢に応じて脂質や乳製品,たんぱく質摂取を工夫する。
・多様な食品の摂取を心がける。

疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)

提言の内容をそれぞれ詳しく見てみましょう。

食塩の摂取は最小限に

和食文化の特徴として塩分摂取量が多いのは、醤油・味噌・塩などの調味料から摂取するほか、塩分濃度が非常に高い塩蔵品(干物・たらこ・いくらなど)を摂取することが多いからです。

日本人を対象にした研究では、調味料の味付けなどで塩分摂取の多い人は脳卒中のリスクが高く、塩蔵品を多く食べる人は胃がんのリスクが高いという結果がでました。

濃い目の味付けで常習的に塩分を摂ると、高血圧から脳卒中などの循環器疾患のリスクが高くなると考えられています。

塩分濃度が非常に高い塩蔵品を食べると、胃粘膜がダメージを受け胃炎を起こし胃がんのリスクが高まると考えられています。

国際的には食塩摂取は5g未満/日が目標とされています。一方、日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人の目標量は次のように設定されています。

🧂 1日の食塩摂取目標量(※2)

 ・男性7.5g未満

 ・女性6.5g未満

完璧な減塩を目指さなくても大丈夫。まずは毎日の味噌汁やしょうゆの量を少し意識することから始めてみましょう。

野菜、果物は適切に、食物繊維は多く摂取する

野菜や果物にはビタミンやミネラル、食物繊維、ポリフェノールなどのフィトケミカル(植物由来の機能性成分)が豊富に含まれています。

日本人を対象にした長期追跡調査の結果では、野菜や果物の摂取が多いと総死亡リスクの低下や、果物に関しては心血管疾患死亡リスクの低下も認められました。(※3)

国立がん研究センターのがんリスク評価では、野菜や果物は胃がんのリスクを低下させる可能性があり、食道がんのリスクを低下させることはほぼ確実となっています。

果物に関してはさらに肺がんのリスクを低下させる可能性があると評価しています。(※4)

厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」における野菜・果物の摂取目標量は以下の通りです。

🥕 野菜・果物の摂取目標量 (※5)

 ・野菜 350g/日
  生なら両手3杯分、ゆでたら片手5杯分

 ・果物 200g/日
  りんごなら1個、みかんなら2個

健康効果があるとされる野菜や果物ですが、2024年の「国民健康・栄養調査」では1日の摂取量の平均は野菜:258.7g、果物:78.1gと少ないことが報告されています。(※6)

野菜や果物を意識して摂ることに加えて、食物繊維もしっかり摂りたいですね。

日本人を約20年追跡調査した結果、食物繊維の摂取量が多いほど、総死亡リスクや循環器疾患死亡リスクが低いことがわかりました。

男性ではがん死亡リスクも低下していました。(※7)

近年の報告によると、日本人の食物繊維の摂取量は必要量の7割程度(平均値)と推定されています。(※8)

食物繊維は第6の栄養素ともいわれ、腸内細菌のえさとなることで腸内環境を整える働きがあります。

世界の研究でも、玄米や全粒粉パンなどの全粒穀物を多く摂るほど、糖尿病のリスクが低くなることが報告されています。

食物繊維を多く含む野菜や果物、いも類、豆類、きのこ類、藻類のほか、玄米や全粒粉パンなども食生活に取り入れてみましょう。

副菜を一皿追加するだけでも野菜不足の改善につながります。

大豆製品を多く摂取する

海外の複数の研究で、大豆製品を多く摂取することにより脂質異常症のリスクが低下することが示されています。

日本人を対象にした追跡調査では、大豆製品を多く摂ると肺がんのリスクや、脳梗塞・心筋梗塞のリスク(女性のみ)が低下することが確認されました。

発酵性大豆食品については、摂取量が多いほど総死亡リスクや循環器病による死亡リスクが低いことが報告されています。

さらに別の研究では、味噌汁を多く摂ることで、肺がんや、女性では乳がんのリスクが低下する可能性も示されています。

味噌汁は、発酵性大豆食品が摂取でき、和食スタイルが整うという一石二鳥のメリットがあるのでおすすめです。

魚を多く摂取する

魚は良質なタンパク質であるだけでなく、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)、ビタミン・ミネラルなどの微量栄養素を含む優れた食品です。

海外の複数の研究を解析した結果では、魚を多く摂ると脳卒中のリスクが低下することや、魚を100g/週摂取すると虚血性心疾患の発症リスクが5%下がることなどが報告されています。

日本の研究でも、魚を1~2回/週摂取するだけでも虚血性心疾患の予防効果があり、それ以上の頻度で食べると予防効果がさらに高くなることが報告されています。(※9)

「毎日は難しい」という方も、まずは週に1〜2回を目標に魚料理を取り入れてみませんか。

赤肉・加工肉などの多量摂取を控える

海外の研究では、赤肉(牛・豚・羊肉)や加工肉(ハム・ソーセージ・ベーコン)を多く摂取すると、大腸がんのリスクが増加することはほぼ確実であるとされています。

日本でも、赤肉・加工肉の過剰摂取は大腸がん(特に結腸がん)のリスクが増加する可能性があることが報告されています。

赤肉はタンパク質やビタミンB12、鉄、亜鉛などの栄養素を豊富に含んでいますが、毎日食べる必要はありません。

世界がん研究基金(WCRF)は、赤肉の摂取量を週3食分、調理済み重量で350~500g(生肉では約700~750gに相当)に制限することを推奨しています。(※10)

🍖赤肉の1週間の推奨量

  調理済み重量 350~500g
 (生肉700~750gに相当)

日本人の場合は赤肉の過剰摂取をするケースは少ないですが、赤肉ばかりの食生活にならないように気をつけましょう。

肉だけに偏らず、魚や大豆製品も組み合わせることが健康的な食事につながります。

甘味飲料は控えめに

世界規模の解析では、甘味飲料の摂取量が1日250ml多くなるごとに、糖尿病のリスクが約1.3倍になると推計されています。

日本人を対象にした研究でも、甘味飲料を多く飲む人では糖尿病のリスクが増加することや、女性ではほぼ毎日飲む人で脳梗塞の発症リスクが高まることが報告されています。

甘味飲料には、異性化糖を甘味料として使用しているものがあります。

※異性化糖とはブドウ糖と果糖からなる液状の糖で、でん粉を材料として作られます。

近年、異性化糖は肥満や高血圧、糖尿病などのリスク因子となる可能性が示唆されています。

また、5歳までの時期に甘味飲料の摂取量が多いほど、将来の肥満リスクが高まることや、小児期の摂取量が多い場合にADHD(注意欠如・多動症)のリスクが高まることも報告されています。

※ADHDとは年齢や発達の水準に比べて注意を維持することが難しかったり、衝動的行動したりするなどの特徴があり、日常生活や学業などに支障をきたす状態を指します。

のどが渇いたときは、甘味飲料ではなく、水やお茶を選びたいですね。

年齢に応じて脂質や乳製品、タンパク質摂取を工夫する

脂質は質と量のバランスが大事

脂質はエネルギー源として重要であるだけでなく、細胞膜や生理活性物質の構成成分でもあります。

脂質を構成する脂肪酸には、飽和脂肪酸(肉類の脂やバター、牛乳などの乳製品、パーム油に多く含まれる)と不飽和脂肪酸(魚や豆腐、ナッツ類、菜種油・大豆油・ごま油に多く含まれる)があります。

飽和脂肪酸を摂りすぎるとLDLコレステロールが増加し、心筋梗塞などの循環器疾患のリスクが高まることが懸念されます。(※11)

日本人を対象にした研究では、飽和脂肪酸の摂取量が多いほど心筋梗塞の発症リスクが高くなる一方、摂取量が少ないほど脳出血や脳梗塞のリスクが高くなることが報告されています。

つまり、脂質は摂りすぎても、極端に減らしてもよいわけではありません。

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18歳以上の脂質の目標量を総エネルギーの20~30%、飽和脂肪酸を7%以下としています。(※2)

高齢者でも脂質の目標量は同じなので、摂取不足にならないよう意識をすることが大切です。

一方、不飽和脂肪酸については、魚やナッツなどの摂取が虚血性心疾患のリスク低下と関連することが多数報告されています。(※12)

肉類中心の食事を魚や大豆製品を取り入れた食事にするなど、飽和脂肪酸の一部を不飽和脂肪酸に置き換える工夫をして、動脈硬化の予防につなげたいですね。

バランスのとれたタンパク質摂取を心がける

タンパク質には、肉類や魚介類、乳製品などの動物性タンパク質と、大豆・豆腐・納豆・えんどう豆・枝豆などに含まれる植物性タンパク質があります。

日本人を対象にした研究では、植物性タンパク質の摂取割合が多いほど、総死亡や循環器疾患による死亡リスクが低いことが報告されています。

さらに、統計学的に、総エネルギーの約3%に相当する赤肉・加工肉由来のタンパク質を植物性タンパク質に置き換えた場合、総死亡リスクは34%、がん死亡リスクは39%、循環器疾患死亡リスクは42%低下すると推計されています。(※13)

植物性タンパク質は、大豆だけでなく、そばやトウモロコシ、ブロッコリー、芽キャベツ、バナナなどにも含まれています。タンパク質は動物性食品だけに頼らず、さまざまな食品から摂ることを意識したいですね。

乳製品に関しては、メタ解析で、牛乳を1日200ml摂取すると循環器病のリスクが0.9倍になることが報告されています。

また、日本人を対象とした研究では、乳製品からのカルシウム摂取量が多いほど、脳卒中の発症や死亡リスクが低下することが報告されています。

農林水産省の「食事バランスガイド」では、一般的な成人の牛乳・乳製品の目安は1日2つ(SV)で、牛乳なら約200mlに相当します。(※14)
※SV(サービング)とは、食事バランスガイドで使われる量の単位です。

高齢になり食が細くなると肉類の摂取が少なくなり、脂質やタンパク質の摂取不足の可能性が高まります。

高齢者では、タンパク質の摂取量が減るとサルコペニア(筋肉量の減少)やフレイル(心身の虚弱)になりやすいので注意が必要です。

年齢によって必要な栄養は変わります。年齢に合わせて食事を見直すことも大切です。

多様な食品の摂取を心がける

食品摂取の多様性と死亡リスクには関連があることが指摘されています。

日本人を対象にした追跡調査では、女性において多様な食品を摂取するほど総死亡率や循環器疾患死亡率が低下していました。

男性では摂取する果物の種類が多様であるほど総死亡のリスクが低い傾向がみられました。(※15)

近年では、多様な食品を摂取しているほど認知機能が低下しにくいことも報告されています。(※16)

多様な食品を摂取することは、さまざまな栄養素をバランスよく取り入れることができ、健康維持につながると考えられています。

「同じものばかり食べない」という意識だけでも、食生活の幅は少しずつ広がります。

一度にすべてを変える必要はありません。「今日はいつもと違う食材を一つ選ぶ」そんな小さな積み重ねが、健康的な食生活につながります。

まとめ|健康に良い食事で健康寿命をのばそう!

健康に良い食事とは、健康維持に必要な栄養を満たすだけでなく、さまざまな病気のリスクを減らすことにつながる食事のことです。

世界にはさまざまな健康食がありますが、慣れ親しんだ和食を見直すことでも健康に良い食事は実現できます。

大切なのは、すべてを完璧に実践することではありません。

ご自身の食生活を振り返り、できることから一つずつ取り入れていきましょう。

参 考 資 料