こんにちは、健康マスター・普及認定講師のうりさくらです!

人生100年時代の今、健康寿命をいかに延ばすかに大きな関心が集まっています。

健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のこと。

できるだけ長く、自立して自分らしく暮らしていくために、とても大切な指標です。

平均寿命の延び以上に、自分らしく人生を楽しみながら暮らせる期間もいかに延ばせるかが大きな課題となっています。

健康寿命を延ばすためには、運動・食事・休養・社会参加など、生活習慣が重要とされています。

正しい知識をもとに継続して取り組むことが何より大切です。

そこでこのシリーズでは、健康寿命とは何か、健康寿命を延ばすための習慣、成功の秘訣 を全3回でわかりやすく解説します。


本記事は、【基礎編 Vol.1】基礎知識に関するお話です。

健康寿命について、まずは知っておくべきことをわかりやすく解説しますね。

この記事でわかること

  • 健康寿命とは?
  • 健康寿命と平均寿命の違い
  • 健康寿命が終わる原因

シリーズを一通り読んでいくと、あなたが健康で長生きするためにどのような取り組みをすればよいかがきっとわかるはず!

ぜひ最後までご覧くださいね。

健康寿命の基礎知識

健康寿命とは健康状態を表す健康指標の一つです。

国別や地域別の健康状態をみるのに、以前は「どれだけ長く生きれたか」として平均寿命が広く使われてきました。

単に生存しているだけでなく健康の度合いも考慮した新しい指標として、2000年にWHOが提唱したのが健康寿命です。

日本が世界の健康寿命ランキングで1位をとったことで、一気に国内でも関心が高まりましたよね。

健康寿命とはどのようなもの?

健康寿命とは大まかにいえば、生存期間を「健康な期間」と「不健康な期間」に二分して、集団での各人の健康な期間の平均値を計算したものです。(※1)

算出方法や何をもって健康とするかは国により若干の違いがあります。

日本の場合は、3年に一度行われる国民生活基礎調査(大規模調査)の健康票での質問の答えによって健康・不健康の判断をして計算しています。

健康・不健康の判断

健康票の質問「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか。」に対して

  • 「ない」が健康
  • 「ある」が不健康

「ある」と答えた場合、どのような影響があるか具体的な選択肢として日常生活の4項目をあげて質問しています。

日常生活の4項目(※2)
  1. 日常生活動作(起床、衣服着脱、食事、入浴など)
  2. 外出(時間や作業量などが制限される)
  3. 仕事、家事、学業(時間や作業量などが制限される)
  4. 運動(スポーツを含む)

健康寿命という考え方では、この日常生活の4項目に関して、動作や時間などが制限されることなく行える場合が健康とみなされます。

厚生労働省が推進する健康施策健康日本21では、健康寿命とは健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間と定められています。(※3)

健康寿命はこの他に、副指標として「自分が健康であると自覚している期間」や、「日常生活動作が自立している(要介護1まで)期間」とする考え方もあります。(※1)

健康寿命がどのようなものか理解できたところで、実際のデータをみてみましょう。

健康寿命と平均寿命の違いとは?|データからわかること

健康寿命と平均寿命の違いは以下のように表されます。

平均寿命と健康寿命|e-ヘルスネット

実際のデータをみてみましょう。

                   引用元:健康寿命の令和4年値について|厚⽣労働省健康・⽣活衛⽣局健康課をもとに作成

健康寿命と平均寿命の差は「不健康な期間」となります。

健康寿命と平均寿命のデータから大きく2つのことがわかります。

  1. 健康寿命と平均寿命の差「不健康な期間」は約10年続く
    日常生活に制限がある不健康な期間では、日常生活の4項目(日常生活動作や外出、仕事・家事、運動)に支障をきたし自立した生活が困難になります。日常生活への支障が大きくなると、支援や介護が必要になる場合もあります。
    2022年の平均寿命と健康寿命の差は、男性8.49年、女性11.63年です。これは、健康上の問題によって日常生活に何らかの制限がある期間が、平均すると一定期間あることを示しています。ただし、この期間すべてで介護が必要になるという意味ではありません。
  2. 不健康な期間=平均寿命-健康寿命
    平均寿命は、医学医術の進歩や医療保障の充実により今後も長期的には延びていくと推計されています。
    その一方で、平均寿命だけが延び、健康寿命が十分に延びなければ、健康上の問題で日常生活が制限される期間が長くなる可能性があります。

人生の終わりに訪れる不健康な期間を短くできるよう「健康寿命をのばす」という意識づけが重要となります。

健康寿命をのばすことの重要性|メリットは?

健康寿命をのばし、健康上の問題によって日常生活が制限される期間をできるだけ短くすることには、3つの大きなメリットがあります。

  1. 生活の質(QOL)が維持でき、自分らしく暮らせる期間が長くなる。
  2. 医療費や介護にかかる費用をおさえることができる。
  3. 社会全体として、社会保障制度を持続することができる。

要支援・要介護の期間を短縮することは、個人的にメリットがあるだけでなく社会全体としても大きなメリットがあります。

急速に少子高齢化が進む日本では、医療費・介護費用をいかに抑えるかが喫緊の課題です。

このため厚生労働省は「健康日本21(第三次)」や「健康寿命延伸プラン」を策定し健康寿命延伸の推進を図っています。

「健康寿命延伸プラン」では、具体的に2040年までに、2016年と比べて健康寿命を男女とも3年以上延伸し、75歳以上にすることを目標にしています。(※4)

健康寿命をのばすという意識は、個人にとってメリットがあるだけでなく、社会保障制度を持続させ持続可能な社会の実現のためにも必要不可欠な意識です。

健康寿命をのばしていつまでも自立して自分らしく暮らしたいと思っても、なぜそれができなくなるのでしょうか?

健康寿命が終わって「不健康な期間」が始まるとはどういう状態なのかも見てみましょう。

なぜ自立した生活が難しくなるのか?|要支援・要介護の主な原因と対策

健康寿命が終わるとは、日常生活動作や外出、仕事・家事、運動に支障をきたしている状態を指します。

日常生活への支障が大きくなると、支援や介護が必要になる場合もあります。

なぜ健康寿命が終わってしまうのかは、要支援・要介護の原因をみればわかります。

             厚生労働省「2022年国民生活基礎調査」 Ⅳ介護の状況をもとに作成

要支援・要介護の主な原因は以下の通りです。

原因となる各項目について対策も交えて詳しく見てみましょう。

認知症は認知機能が低下し、記憶障害や見当識障害(時間や場所、人がわからなくなる)、言語障害などが起こります。

「認知機能障害」とともに、自立した生活が困難になる「生活機能障害」が起こると何らかの支援が必要です。

認知症に至る前の段階として、軽度認知障害(MCI)と呼ばれる状態があります。

軽度認知障害(MCI)とは(※5)

軽度認知障害(MCI: Mild Cognitive Impairment)は健常な状態と認知症の中間の状態です。
記憶力の軽度な低下など認知機能の障害はあるものの、多くの場合は日常生活(家事や移動、金銭管理など)が支障なく送れます。

MCIは、その後認知症に進行する場合がある一方、認知機能が正常な状態に戻る場合もあります。早い段階から生活習慣を見直すなど、適切な対策をとることが大切です。

認知症の危険因子として知られているのは、肥満や高血圧、糖尿病、過度の飲酒、運動不足、喫煙、睡眠障害などです。

こうした危険因子をできる範囲で減らしていくことは、認知症の発症リスクを下げたり、発症を遅らせたりすることにつながる可能性があります。

認知症の予防対策(※5)

生活習慣の改善(なかでも、運動習慣は、認知機能の低下を防ぐためにも大切)

主な脳血管疾患(脳卒中)には以下の3つがあります。

  • 脳梗塞(脳の血管が詰まる)
  • 脳出血(脳の血管が破れて出血する)
  • くも膜下出血(くも膜下腔で脳動脈瘤が破裂する)

脳卒中は、寝たきりになる原因の第1位です。片麻痺などの後遺症によって、日常生活に大きな支障が残ることもあります。(※6)

危険因子としては高血圧や糖尿病、喫煙、肥満などがあげられ、生活習慣と深く関わりがあります。

脳血管疾患(脳卒中)の予防対策(※7)
  • 生活習慣の改善
  • 高血圧や糖尿病、脂質異常症、不整脈(心房細動)がある場合は治療遵守

最大の生活習慣要因は高血圧とされ、食塩の過剰摂取は要注意です。

高齢になると筋力やバランス能力などの身体機能の低下が起こり、転倒しやすくなります。

高齢になると骨粗しょう症などによって骨がもろくなっていることもあり、転倒をきっかけに骨折する場合があります。

高齢者に多い4大骨折(※8)
骨折・転倒の予防対策(※8)
  • 転倒予防
    筋力とバランス能力の向上
    立ち上がり運動や片脚立ち運動など
  • 骨粗しょう症予防
    カルシウムやビタミンD、タンパク質などの栄養素を摂る

人は誰でも高齢になるにつれてあらゆる機能が低下していきます。

健康な状態から要介護状態へと移行する中間の段階はフレイル(Frailty:虚弱)と呼ばれ、適切な対応をすることで衰えの進行を遅らせたり状況を改善できたりする(可逆性がある)ことがわかっています。

フレイルは大きく以下の3つに分けられます。(※9)

  • 身体的フレイル
    ロコモティブシンドローム(ロコモ):骨や筋肉、関節などの運動器の障害で移動機能が低下する
    サルコペニア:筋肉が衰える
     
  • 精神・心理的フレイル
    うつや軽度の認知症の状態など
  • 社会的フレイル
    社会とのつながりが薄くなることで生じる、孤独感や経済的困窮の状態など

これら3つが互いに影響し合いフレイルは進行します。

フレイルの予防対策3本柱(※9)
  • 栄養
    タンパク質を含めバランスの良い食事を心がける・よく噛む
  • 運動
    筋トレや歩くなど運動を継続して行う
  • 社会参加
    友達とのおしゃべりやボランティア活動、趣味の会に参加などして社会と関わる

どれか一つでも欠けることのないよう三位一体で予防に取り組むことが重要です。

高齢者に多い関節疾患の一つに、変形性関節症があります。

特に多いのが膝の「変形性膝関節症」で、関節の軟骨が少しずつすり減り、痛みや関節の変形などが起こる病気です。

加齢のほか、肥満なども発症に関係しています。

関節に痛みがあると、歩行や立ち座り、階段の上り下りなどが難しくなり、日常生活にも支障をきたすようになります。

さらに、痛みのために身体を動かす機会が減ると、筋力や移動機能の低下(ロコモ)にもつながるため注意が必要です。(※8)

進行するにつれ活動量が減り、要支援の状態になる可能性が高まります。

実は、要支援になる原因の第1位が関節疾患なのです。

関節疾患の予防対策(※10)
  • 適正体重を保つ
    肥満は膝関節への負担を大きくするため、適正体重を保つことが大切
  • 関節周囲の筋肉を鍛える
    特に太ももの前にある大腿四頭筋など、関節を支える筋肉を鍛え
    る
  • 関節に負担をかけすぎない
    正座など膝に負担のかかりやすい姿勢をできるだけ避ける

適正体重を保ち、適度な運動や筋力トレーニングを続けることが、関節の健康を守ることにつながります。

要支援・要介護の原因は人それぞれですが、栄養や運動などの生活習慣の改善や、社会との関りを持つことで少しでも要支援・要介護を先送りにできると考えられます。

健康寿命が早くに終わってしまわないよう、要支援・要介護を先送りにする対策を早めに取りましょう。

まとめ

健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことです。

平均寿命と健康寿命には差があり、年齢を重ねるにつれて、認知症や脳血管疾患、骨折・転倒、衰弱、関節疾患などによって自立した生活が難しくなることがあります。

だからこそ大切なのが、ただ長生きするだけでなく、健康寿命を延ばすという意識を持つことです。

健康寿命を延ばすとは、できるだけ長く自分らしい生活を続けられるよう、健康なうちから生活習慣を見直し、できることから対策していくことでもあります。

この記事をきっかけに、「健康寿命を延ばすこと」をこれからの生活で少し意識していただけたら嬉しいです。

【健康寿命 基礎編 Vol.2】では、健康寿命を延ばすために取り組みたい9つの生活習慣をご紹介します。ぜひこちらも参考にしてくださいね。

参考資料